原価計算

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製品やサービスの原価を計算すること、または、その方法のことで、全部原価計算方式(Full Costing)と直接原価計算方式(Direct Costing)に大別される。全部原価計算は、製品の製造に要した全ての原価要素で製造原価を計算する方式で、直接原価計算では、原価要素のうち変動費のみで製造原価を計算する方式。直接原価計算では、変動費のみで製造原価を計算するため、固定費は期間費用(その期の費用)として処理され、損益計算書上の費用として扱われる。全部原価計算と直接原価計算は突き詰めると、「固定費の取扱いの違い」となり、この取り扱いの違いが営業利益に差異をもたらす原因となる。

全部原価計算の限界

現代では製品ライフサイクルが短く、在庫を次期以降に繰り延べることが必ずしも将来の利益獲得に結びつかない。また、全部原価計算における固定費の製品への配賦は、2つの意味で生産活動の描写能力という点で問題がある。第一に、それによる利益計算は全体最適の効果を適切に表さないという点である。第二に、操業度差異の計算は、全体最適を促す活動を阻害する要因となり得るという点である。以上の考察から、もはや全部原価計算を積極的に用いる理由はない。[1]

出典

  1. ^ 「全部原価計算の説明能力の再検討と直接原価計算の現代的意義」高橋 賢 商学論纂(中央大学)第55巻第4号(2014年3月)