ブレーキ

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自動車におけるブレーキとは、自動車の持つ運動エネルギーを摩擦により発生する熱エネルギーに変換し、自動車を停止させる装置のこと。変換された熱エネルギーは大気中に放散させる。ブレーキは様々な形式が提案されてきたが、現在では、ディスクブレーキとドラムブレーキに大きく分けられる。乗用車はディスクブレーキが採用される場合がほとんどで、トラックなどの重量車は、ドラムブレーキを装備することが多い。トラックでも中小型では、前輪にディスクブレーキを採用する例がある。

カーボンブレーキ

カーボンブレーキはC/C(Carbon Composite)ブレーキとも呼ばれる。一般的にはフェノール樹脂をマトリックスとしたCFRPを炭化し、それにより発生した気孔をピッチや樹脂含浸、または化学気相含浸(CVI)等により埋めて(緻密化)、さらに炭化するということを繰り返して、補強繊維である炭素繊維もマトリックスも両方“炭素”という複合材として製造される。基本的に融点を持たないカーボンブレーキは、一般的な鋳鉄製ブレーキに比べて、超高速からの安定したブレーキングを可能にしている。さらに、熱伝導率の高いピッチ系炭素繊維を補強繊維として 用いることにより、摩擦熱をより効率よく逃がすことが出来、ジャダーやクラック発生等の原因となる熱ひずみを抑制して過酷な条件下でも安定したブレーキ性能を発揮する製品を製造することが出来る。

セラミックカーボンブレーキ

レースの世界で長年使用されてきたカーボンブレーキであるが、最近、高級スポーツカー等に搭載されて一般市場に出始めてきた。一般車向けブレーキには、レース向け以上に厳しい耐久性や耐摩耗性、ブレーキ性能の安定性、及びどんな天候・環境でも使える汎用性が要求される。その要求を満足させる為に、マトリックスの一部をセラミック化する等の工夫がなされている。このようなブレーキは従来のカーボンブレーキ(C/C ブレーキ)と区別して、「セラミックカーボンブレーキ」や「CMC(Ceramic Matrix Composite)ブレーキ」等と呼ばれている。重量は鋳鉄製の約1/4~1/3 であり、車体重量の低減に貢献している。[1]

BMW M6 Carbon Ceramic Break

出典・参考文献

  1. ^ ピッチ系炭素繊維の現状と将来 三菱樹脂株式会社