日別生産計画
日別生産計画とは、営業からの生産依頼に基づき生産本部で設定される生産計画のこと。製造日程計画と呼ぶ場合もある(後述)。日単位でどのような仕様の車両をいつ完成させるか(FF日)を計画しており、部品手配等のために見越しで4カ月先までの日別生産計画を立てている。ただし、実際に車両をラインで生産するには生産計画確定が必要であり、確定作業は旬単位(毎月原則、7日、17日、27日)に2旬先の旬別計画を確定する。つまり現在より3旬先以降は内示レベルである(C、N1、N2、...レベル)。
車両状態
製造日程計画
最終的な工場ライン別の製造日程計画は、販売会社からの注文に応じて策定される。N月中にわたって全国の各販売会社から完成車の注文内容が伝えられ、その注文内容と見込生産計画との仕様の擦り合わせ作業を行っていく。計画と注文内容が一致しない場合に、色やエンジン形式、装備等に関して注文内容の修正を行うのである。ただし、生産計画の修正範囲には制限があり、それは主として部品購買計画の変更可能範囲(つまりは部品の調達可能状況)に依存している。どの自動車メーカーも、見込みの日産計画を策定する際に、例えば「車種Aのサンルーフ付き」は1日に*台までという様に、仕様のアイテム毎に生産数量枠(通常は各アイテム毎に10%~20%程度)を設定している。見込み生産計画が修正不可能な場合、つまり販売会社からの注文内容と一致しない車輌の取り扱いに関して自動車メーカー毎に違いが生じる。具体的には3通りの処理の仕方が存在する。1つ目は、その車輌をそのまま生産し自動車メーカーの在庫車とするケースである。2つ目は、販売会社が引き取るケースである。3つ目は、その車輌そのものの生産を行わないというケースである。こうした調整作業の後、自動車メーカーによって違いはあるが生産日の3~6日前に最終的な製造日程計画を確定する。この製造日程計画では、多種多様な車種の工場ライン別の組み立て順序が決定されている。ただし製造当日には、組立(ボディーに各種部品を取り付ける艤装工程)前のボディー溶接と塗装工程で溶接不良や塗装不良の手直しが入るため、実際の組み立て順序計画は事前の計画から多少変更される。したがって厳密には、自動車メーカーが最終的な生産順序計画を確定するのは、ボディーが最終組立工程に入る直前である。以上のようなステップを経て、自動車メーカーは需要動向に対応する生産計画を策定していく。[1]
日別生産計画以降では、見込みか実需にかかわらず、タイムフェンスを越えたオーダーは実際に生産される。トヨタの場合、生産開始の3日前まで仕様変更を認める代わり、生産されたクルマは、ディーラーの在庫となる。日産の場合は、生産されたクルマは、メーカーの在庫となる。
出典
- ^ 受注生産システムの方向性 -日本の自動車メーカーの事例- 富野 貴弘