「マツダコモン・アーキテクチャ構想」の版間の差分

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高機能で多様な製品を製品開発し続けることで、企業に大きな負担がかかることは否定できない。そして、その負担を軽減する技術として、製品を構成する部品種類数を削減する方法が存在する。これまでにも、設計部品図管理に優れるModular Design、部品群を生産ライン群と絡めて捉えるVariety Reduction Program、設備投資費の検討も行うTypen und Teileなどがその例として挙げられる。これらの従来の部品種類数削減方法には、製造原価低減に関する問題点が存在し、その問題点のひとつの解決方法を(試作費削減という形で)マツダのコモンアーキテクチャ構想が提供した。<ref>マツダのコモンアーキテクチャ構想の特徴 -製造原価低減から試作費低減へ- 塩見 浩介</ref>
高機能で多様な製品を製品開発し続けることで、企業に大きな負担がかかることは否定できない。そして、その負担を軽減する技術として、製品を構成する部品種類数を削減する方法が存在する。これまでにも、設計部品図管理に優れるModular Design、部品群を生産ライン群と絡めて捉えるVariety Reduction Program、設備投資費の検討も行うTypen und Teileなどがその例として挙げられる。これらの従来の部品種類数削減方法には、製造原価低減に関する問題点が存在し、その問題点のひとつの解決方法を(試作費削減という形で)マツダのコモンアーキテクチャ構想が提供した。<ref>マツダのコモンアーキテクチャ構想の特徴 -製造原価低減から試作費低減へ- 塩見 浩介</ref>


== コモンアーキテクチャとしてのSKYACTIV TECHNOLOGY ==
== SKYACTIVE TECHNOLOGY ==
SKYACTIV-G,-Dは、SKYACTIV TECHNOLOGYのうちエンジンに対して使用される名称である。近年、欧州の自動車メーカーでは、理想的な気筒当たり排気量として500ccを採用する傾向がある。3気筒1,500cc、4気筒2,000cc、6気筒3,000ccといった具合である。これは排気量の大小にかかわらず単気筒の燃焼効率や特性を固定化することにより、検証のコスト(時間とお金)を最小化することを目的としている。一方、コモンアーキテクチャとしてのSKYACTIV-G,-Dのアプローチは若干異なっており、燃焼効率や特性を論理化(マップ化)し、それを拡大縮小することで異なる排気量のエンジンを実現しようとするもである。拡大縮小する際に調整するのはボアやストロークであり、前述の欧州の自動車メーカーがボアとストロークを固定化しているのと対照的である。物理特性を固定化するのか、論理特性を固定化するのかのアプローチの違いと言える。
SKYACTIV-G,-Dは、SKYACTIV TECHNOLOGYのうちエンジンに対して使用される名称である。近年、欧州の自動車メーカーでは、理想的な気筒当たり排気量として500ccを採用する傾向がある。3気筒1,500cc、4気筒2,000cc、6気筒3,000ccといった具合である。これは排気量の大小にかかわらず単気筒の燃焼効率や特性を固定化することにより、検証のコスト(時間とお金)を最小化することを目的としている。一方、コモンアーキテクチャとしてのSKYACTIV-G,-Dのアプローチは若干異なっており、燃焼効率や特性を論理化(マップ化)し、それを拡大縮小することで異なる排気量のエンジンを実現しようとするもである。拡大縮小する際に調整するのは、ボアやストロークであり、前述した欧州の自動車メーカーが、ボアとストロークを固定化しているのと対照的である。物理特性を固定化するのか、論理特性を固定化するのかのアプローチの違いと言える。


== 出典 ==
== 出典 ==