マツダコモン・アーキテクチャ構想

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CA構想とは、車格やセグメントを超えて共有された設計思想に基づき、多様な車両を開発する車両開発コンセプトである。具体的には、車両を構成する主な領域ごとに、車種を超えて共有する設計思想を設定し、これを個別の車種に転写することで効率的な車両開発を図ることを目指している。設計思想は、エンジンシリーズ、変速機シリーズ、ボディ構造シリーズ、シャシーシリーズなどの大きな領域でも設定されるが、さらに細かいコモディティという単位でも設定される。コモディティとは、マツダ独自の用語で、開発が自己完結する機能の単位を意味し、100弱のコモディティが定義されている。各コモディティは、標準化された入れ替え可能な部品群からなり、周辺部品とのインタフェースを標準化するとしている。これらの領域において、目標とする機能と機能目標群が定義され、それを満足できる標準構造が開発される。この標準構造は、車種を越えて共通とする固定要素と車種ごとに固有な変動要素とに分けられる。さらに、変動要素も自由に図面を起こすのではなく、一定の設計ルールに基づき設定されたパラメータを変化させることで、車種ごとに違いを生むことになっている。つまり、変動要素のパラメータ化とは、車種などによって異なることが自然な部分 (例えば、フロントボディのフレーム幅やエンジンのボア径など) の変動個所や変動幅などの自由度を制限した上で、あらかじめ決めたルールに従って仕様を決めていく方式である。CA構想では、部品形状そのものの共通化も可能な限り図られるが、必ずしもそれにはこだわらず、設計思想を共通化することに力点が置かれている。[1]

コモンアーキテクチャ構想の特徴

高機能で多様な製品を製品開発し続けることで、企業に大きな負担がかかることは否定できない。そして、その負担を軽減する技術として、製品を構成する部品種類数を削減する方法が存在する。これまでにも、設計部品図管理に優れるModular Design、部品群を生産ライン群と絡めて捉えるVariety Reduction Program、設備投資費の検討も行うTypen und Teileなどがその例として挙げられる。これらの従来の部品種類数削減方法には、製造原価低減に関する問題点が存在し、その問題点のひとつの解決方法を(試作費削減という形で)マツダのコモンアーキテクチャ構想が提供した。[2]

SKYACTIVE TECHNOLOGY

SKYACTIV-G,-Dは、SKYACTIV TECHNOLOGYのうちエンジンに対して使用される名称である。近年、欧州の自動車メーカーでは、理想的な気筒当たり排気量として500ccを採用する傾向がある。3気筒1,500cc、4気筒2,000cc、6気筒3,000ccといった具合である。これは排気量の大小にかかわらず単気筒の燃焼効率や特性を固定化することにより、検証のコスト(時間とお金)を最小化することを目的としている。一方、コモンアーキテクチャとしてのSKYACTIV-G,-Dのアプローチは若干異なっており、燃焼効率や特性を論理化(マップ化)し、それを拡大縮小することで異なる排気量のエンジンを実現しようとするもである。拡大縮小する際に調整するのは、ボアやストロークであり、前述した欧州の自動車メーカーが、ボアとストロークを固定化しているのと対照的である。物理特性を固定化するのか、論理特性を固定化するのかのアプローチの違いと言える。

出典

  1. ^ 新たな車両開発アプローチの模索 ―VW MQB、日産CMF、マツダCA、トヨタTNGA― 目代 武史、岩城 富士大
  2. ^ マツダのコモンアーキテクチャ構想の特徴 -製造原価低減から試作費低減へ- 塩見 浩介

関連項目

モジュール化
Toyota New Global Architecture