部品共通化

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部品共通化とは、自動車においては複数の車種で、同一機能の部品を共通化することで、設計コスト、部品調達コストなどを削減する取り組みのこと。部品共通化の目的はその背景によって異なる。例えばトヨタでは、1980年代から1990年代にかけて製品が急激に多様化した後の、いわゆるバブル経済崩壊後に取り組まれた部品共通化は、多様化により発生した新規設計部品の増大によるコストを、販売台数の増大による収益でカバーできなくなったことによる、コスト削減圧力によるものである。車種別設計や機能別設計から車種を跨った設計が出来る組織への変革を伴って、部品共通化、バリエーション削減などの設計合理化が図られた。これらの活動によって部品の種類は削減されたが、サプライヤーも合わせて集中化されたわけではなく、逆に部品点数が減ってもサプライヤーは増やされているが、部品共通化によるサプライヤーの絞込みによって、トヨタの価格交渉力が弱まることを避けるためであったと言われている。

その後、2002年頃から海外販売の急拡大期には、急増する販売に対応するため、設計の迅速化、生産能力の迅速な増強が優先された。国内販売の急増期と同様に、新規設計部品の増大によるコストを、販売台数の増大による収益でカバーできたからである。しかしながら、新車投入の速度を重視するあまり、車種別の都度設計が増え、似たような機能の別部品が大量に設計され、品質問題の遠因となったり、開発コストの増大を招いたりしたが、2008年の金融危機と、2009年から2010年にかけて発生した大規模リコールにより、それらの解消が強く求められる状況となった。少なくともアメリカにおけるリコールは、製造ではなく設計に問題があったからである。さらに2011年の東日本大震災によるサプライチェーンの破綻により部品管理の簡素化も求められたことが背景にある。

2012年に発表されたTNGAでは、部品の共通化は一つの柱と位置付けられている。従来行われきた、車種別の都度設計をやめ、車種を跨ってプラットフォームという基本部分は一括設計する。顧客の目に触れる部分は個別設計されるが、シートのフレームや部品の取り付け部、取り付け方法などは共通化される。例えば、基本の着座位置パターンをあらかじめ決めることにより、車種別設計では40種類のエアバックが必要であったのが、10種類にまで絞り込まれている。そのため、設計組織を共通アンダーボディ担当の設計部と車種別アッパーボディ担当の設計部に再編している。また、部品共通化によるリコール範囲の拡大の経験から、部品設計プランニングの長期化にも取り組んでおり、サプライヤー参加のフロントローディングも実現している。

関連項目

モジュール化
トヨタ生産方式
TNGA