メキシコの自動車産業

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    2013年のメキシコにおける自動車の生産実績(乗用車+ライトトラック)は、293万台であり、そのうち242万台(82.6%)が輸出されている。一方、国内販売は106.3万台であるが、そのうち55.3万台(52%)は輸入である。輸出先は、北米(76%)、中南米(13%)で約90%となっている。完成車メーカーとしては、日産、GM、Ford、VW、Fiat-Chryslerが上位5社となっている。また、2020年までに、Audi、Mercedes-Benz、BMWなどが完成車生産開始を予定しており、2020年における各社の生産能力合計は455万台を超える予定である。

    メキシコで完成車メーカーが自動車を生産するメリットは、ワーカー労務費を中心とした高いコスト競争力、世界第2の市場である米国および中期的に成長が見込まれる中南米に隣接している、NAFTAをはじめとするメキシコのFTA拡充(46締結国)、などが挙げられている。特に、FTAに関して言えば、メキシコのFTAは、世界の50%の市場に対して、無税で輸出することが可能であり、これはタイの20%を大きく超えており、メキシコの高い優位性を示している。また、ドルに対してペソは安く推移しており、対米輸出に関しての競争力は他の地域より高いと言える。メキシコからの輸出車種は、小型乗用車とピックアップトラックが大半を占める。

    完成車メーカーがメキシコのFTAを活用し輸出拠点化を進めるにあたっては、各協定が定める部品の現地調達率を満たす必要がある。このため、メキシコにおける部品産業の集積は、完成車メーカーに部品を直接納入し現地調達率におよぼす影響が大きい Tier1サプライヤーを中心に進んできた。世界の部品サプライヤー売上上位30社を例に見ると、現時点で既に29社がメキシコに生産拠点を構えている。[1]

    一方で、Tier2/Tier3などの裾野産業集積に関しては、タイなどの他国と比較すると改善の余地があり、メキシコにおける地場Tier2/3サプライヤーの活用や、先進国からのTier2/3サプライヤーの進出増加による裾野産業集積が期待されている。

    出典・参考文献

    1. ^ 自動車・部品メーカーのメキシコ活用戦略 Mizuho Industry Focus Vol. 168

    関連項目

    COMPAS