アーキテクチャ

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    アーキテクチャ(英:Architecture)とは、「どのように製品を構成部品に分割し、どのように製品機能を配分し、それによって必要となる部品間のインターフェースをいかに設計・調整するか」に関する基本的な設計構想のことである。製品アーキテクチャには大きく分けて「インテグラル(擦り合せ)型(部品設計を相互調整し、製品ごとに最適設計しないと製品全体の性能が出ないタイプ)」と「モジュラー(組み合せ)型(部品・モジュールのインタフェースが何らかの意味で標準化されていて、既存部品を寄せ集めれば多様な製品が出来るタイプ)」がある。自動車は典型的なインテグラル型の製品と言える。例えば、燃料噴射装置の基幹技術は、専門部品メーカーに固有のもので、自動車メーカーと言えども外注せざるをえない技術である。ボッシュ社は燃料噴射装置のプラットフォーム型開発(=標準化)により、基幹部分を共通化することでコスト低減を図る一方、エンジンとのインターフェース部分は個別にインテルグラル型で開発し、どのメーカーのエンジンとも結合を可能としている。このように、単にアーキテクチャと言っても、どちらか一方に限定されるわけではなく、ボッシュのようなハイブリッド型も考慮する必要がある。ボッシュの例は、承認図方式と言える。

    自動車アーキテクチャのモジュール化

    フォルクスワーゲングループの商用車メーカーであるスカニアは、トラック、トラクターヘッド、バスといったカテゴリの異なる製品を、同一の部品から組立てることの出来る、自動車におけるモジュラー設計を確立している。2012年に子会社化したフォルクスワーゲンは、その技術を活用して、MQBなどのフォルクスワーゲングループにおけるモジュールコンセプトを確立した。この技術は、従来、自動車はインテグラル型アーキテクチャであると言われてきた常識を覆すもので、トヨタのTNGA、日産のCMF、マツダのCAなどは、スカニアのモジュラー設計を目指したものと言える。

    システムズエンジニアリングでの定義

    アーキテクチャとは、システムとその構成要素の構造・機能・運用インタフェース、運用プロファイル等を包括的に体系化し、システム全体とその構成要素間の相互関係を明らかにしたものであり、システム全体の見取り図ということができる。

    近年、しだいに複雑化・大型化していくシステムの構造・機能を体系的に整理し、システム全体の概要を把握し、また同時にシステムの構成要素間のつながりを明確にすることは、上位システムのニーズを反映した的確なシステムを構築していく上で、非常に重要な事である。システムのアーキテクチャを的確に描くことは、システムの構成要素を過不足無く記述する事であり、システム構築の際の適切化・効率化を図る事に大きく寄与する。[1]

    出典

    1. ^ システムズエンジニアリングの基本的な考え方 初版 JAXA 2007年4月B改訂